スタッフの日記

11月19日(日)曇り一時雨
 開店して一ヶ月、少しは落ち着いて来た。料理はほぼ間違いなく遅れ
ずに出るようになって来たし、サービスの子たちもかなり慣れて来た。
でも問題点も多い。先ず、料理人・サービス係ともに習熟するまでまだ
かなりの時間が要りそうだということ。遅れずに出るようになって来たと
はいえ、料理の味が安定しないし、ケアレスミスがなくならない。それで
当初年内一杯の予定にしてた中国からの助っ人車君には、もう一ヶ月
頑張ってもらうことにした。サービスの女の子たちも同じ。みんなそれな
りに日本語が話せるけど、どうしても中途半端。肝心の所で間違ってし
まう。みんな明るく真面目に頑張ってるけだけに、もう少し余裕を持って
見てやらねばと思うけど、イラチの大阪人としてはついついキレてしまう
そんな中、昼の弁当を始めることにし、手頃な弁当箱がないので、中国へ取りに行くことにした。当初は、金曜日の深
夜(日付は土曜日)に発って、日曜日の深夜(日付は月曜日)に戻って来るつもりだったけど、金曜日の便はないとい
うことで、一日早めて木曜日の深夜便にした。この時期に金曜日の夜 店にいないのはちょっと冒険だけど仕方ない。
16日(木)の夜、まだお客さんがいたけど、10時過ぎ、車君とバイクで店を出た。一旦家に戻って飛行場へ。これか
ら3日間、話せる相手もなく一人ぼっちになる車君は「この3日間は3ヶ月間と同じ」と喚いてた。国際線乗り場の所ま
でバイクで送ってもらった。いつも通り、深夜1時過ぎにホーチミンを発つ。朝6時上海浦東着。小雨で肌寒かった。
バスで上海駅まで行き、8時20分発の列車で無錫へ。10時前無錫着。同じく小雨で肌寒く、念の為持って来た冬の
キルティングジャケットでちょうどだった。そこでふと思ったけど、人間にはやはり寒さが必要だ。ずっと暑いだけだと
どうしてもボケてしまうように感じた。ロンちゃんが店で待ってくれてた。年内はもう戻る予定がないので、ロンちゃん、
劉君、それにネット担当の陳ちゃんとミーティング。無錫では日本人飲食街の中心が胡蝶のある湖濱路付近から、工
場がある新区に移っており、それへの対策等、いろいろと話し合うことがあった。2年の時間と各人たちの努力もあっ
てか、店の雰囲気・内容ともに予想外に悪くなく、ホッとした。そして昨日の夜、久しぶりなので店が終わってから皆と
火鍋を食べに行く。ぼく無しで頑張ってくれてるせいか、みんなそれぞれ大きくなってた。今日、昼前から再度劉君、
ロンちゃんとミーティング。そして午後2時の直行バスで上海浦東空港へ。夜の9時半浦東発。深夜ホーチミン着。荷
物が多いので、車君とチャオ君が2台のバイクで迎えに来てくれた。そのまま店へ荷物を運び、チャオ君と別れ、車
君と帰宅。いつもながら慌しい3日間だった。
11月30日(木)晴れ
 開店して1ヵ月半。初めての月間収支は正にトントン。まぁ良しとする
しかない。それにしても、やはり家賃の高いのがイタイ。日本では長らく
銀行の為に働いて来たけど、こちらでは大家の為に働くという塩梅だ。
そして、1ヶ月半経った今日で、女の子が2人辞める。1人は日本行き
が決まったからで、もう一人は給料面での問題。アルバイトだからある
程度覚悟してたけど、中国と同じで、ある日突然の通告だけに困ったも
んだ。開店してからみんなへの慰安がなかったので、店が終わってから
日本へ行くフンちゃんとラストまでのワンさん・チャオちゃん、警備のコイ
君、それに料理場の皆とフンちゃんの送別会ということで、カラオケに
行った。この辺のノリは中国と同じで、約1時間半カラオケを楽しんだ。
12月5日(火)晴れ
 胡蝶のプライベート焼酎「胡蝶の夢」48本が、今日無事に到着した。
日本食材店を経営しているTanさんの日本からの仕入コンテナーに同
梱してもらった。先月の22日に東京港を出帆だったので2週間足らず
での到着。外箱もきれいで全然痛んでなかった。ただ、税金が1本につ
き11.02ドルとかなり高額だった。これまで日本からのキャリーやペッ
トボトルに詰め替えての送りで、せいぜい数本程度しか持ち込めなかっ
たので、これは本当に有り難い。
12月7日(木)晴れ
 12月になっても当然のことながら寒くはならない。生まれて初めて、
暑い冬を過ごすことになった。一年中夏みたいだけど、それでもそれな
りの季節感はある。8、9月には家の裏でカエルがうるさかったし、10
月には赤とんぼが飛んでいた。そして今月に入ってからは、X’masの
飾り付けがあちこちで見られる。中国ほどではないけど、それでもどこ
もかなり派手に飾り付けてる。暑いのにクリスマス、最初は何か抵抗が
あったけど、キリストが生まれ育った所は中東だし、これが正統派か
も?でも、飾り付けはどこも日本・中国と同じ雪景色にサンタさんという
もの。中には、アルミホイルで大きく雪を表現してるのがあって、それに
夏の太陽が照り返し見るからに暑苦しい雪景色になってたりしてる。
何かおかしいけど、でもそれなりに楽しめるものばかりだ。
12月14日(木)晴れ
 開店して2ヶ月、何とかそれなりに軌道に乗って来た。と思ってたら、また問題が…。中国に研修に出したりして期待
してた料理長のチャオ君が、事情により9日で退店した。そして2番手のヴゥ君も今日で退店することになり、残った
料理人はワン君以下の4人だけ。中国からの助っ人車君も今月末で帰ることになっており、下手をすると店存続にも
かかわる一大事となった…。ただ幸いなことに、ワン君以下の残った4人がそれほど動揺しておらず、開店ひと月前
からのこの3ヶ月で料理の腕もかなり上げており、とりあえずは車君以下の5人でなんとかしのげそう。でも、大至急
新たな料理人が必要で、その前に先ずは皆の考えをと、残った4人の意見を聞くと「これからはぼく達だけでやってい
くのでもう料理長は要らない。中修程度の料理人を一人入れてもらえればOKです。」とのこと。勿論、自分達の給料
も含めた上での考えだろうけど、諸々を勘案してそれで行くことにした。後は、一日も早く中国に帰りたがってる車君
に、少なくとも来年のメーデーまであと半年は頑張ってもらうことが必要で、その旨を話すと思ったより素直に了承して
くれ、まさに「雨降って地固まる」となった。
12月17日(日)晴れ
 今日は、料理人4人の中で唯一の独身チャン君の結婚式。新郎の職
場の社長ということで当然招待され、初めてベトナムの結婚式に参加し
た。街の中心にある胡蝶からバイクで30分以上離れた郊外の式場は
日本によくある「○○会館」といった所。10時から結婚式で昼の11時
半から披露宴。ちょっと遅れて会場に着いた時はすでに満員の人で溢
れてた。聞けば400人以上という大宴会で、日本ではちょっと考えられ
ない規模。入口で祝い金を入れる箱に祝い金を入れる。非常に例えが
悪いけど、ちょっと葬式と同じ感じ。会場では正面のステージでキーボ
ードとサックスの2人の奏者によるのど自慢。みんな普段の格好でただ
ワイワイと飲み食いしてる。案内されたのは一番前の真ん中の特等
席。聞けば、新郎の職場の社長であるのは勿論、こういう席では外国人は歓迎されるとのこと。新郎新婦のお祖父さ
ん(といっても同年輩)と一緒だった。司会がいる訳でなし、挨拶がある訳でなし、ただ延々と飲み食いし、みんな勝手
にステージに上がって歌を歌い、その間、新郎新婦が各席を回って挨拶してた。午後2時頃に自然解散。何の挨拶も
なく、ただ飲み食い終わった所から徐々に帰って行く。床には、飲み干したビール瓶や食べ物のかす…。この辺も中
国と全く同じ。ぼく達がほぼ最後となり、簡単に挨拶して会場を後にした。実にあっけらかんとしたそれでもいい結婚
式だった。ただ料理人が車君を入れて5人しかいないこの時期に、新郎に5日間休まれるのは仕方ないことだけど
やはりイタイ。
12月31日(日)晴れ
 あっという間に今年も終わりで今日が大晦日…。とはいっても中国以
上に実感が湧かない。共に旧暦の正月を祝うので、今日の大晦日も明
日の元日も普通の日でしかないけど、無錫はまだ寒かったのでそれな
りにらしい感じがした。でも、年中夏のこちらでは全然ピンと来ない。
そんな今日、いつも通りのランチが終わってから、車君と2人で夜バイト
で働いてるチャオちゃんの家のインド料理店へ行った。ベンタン市場近
くの欧米人街の中で、ただ一軒のインド料理店。何でも親族にインド人
がいるそうで、親族一同でやってるとのこと。マトンのカレーを食べたけ
ど、結構おいしかった。入口でバイク番をしてるお兄さんが簡単に挨拶
に来ただけで、2階にいるというお母さんその他も何の挨拶もなし。かと
いってよそよそしい訳でもなく、そんな人間付き合いみたいだ。ちょっと物足りないけど、これはこれで肩も凝らずに気
楽でいいかも。



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